大型の輸送用車両であるトレーラーヘッドですが、トレーラーヘッドは実はブレーキシステムが独特で様々なブレーキを採用しています。
この記事では、トレーラーヘッドに装着されている独自のブレーキシステムについて解説します。
トレーラー全体を安全に停止するための貨物ブレーキ
まず貨物に備えられたブレーキシステム、これをトレーラーヘッド側から操作すると貨物にブレーキがかかります。
これは貨物が坂道などで加速しすぎるとトレーラーヘッド自体を押してしまうという現象が起きてしまい、安全に停車できなくなるという問題が生まれたり、トレーラーヘッド自体のブレーキが高熱で効かなくなるということが起きるため貨物側にもブレーキをつけましょうというのが貨物ブレーキです。
これがあるから、トレーラーヘッドは万が一、トレーラーヘッド自体のブレーキが利かなくなっても安全策という形でブレーキをかけることが可能なんです。
急勾配な場所で物資を輸送するトレーラーに採用されるウォーターブレーキシステム
他にも、トレーラーヘッドにはブレーキに関するシステムがあり、ウォターブレーキシステムという物を採用しているトレーラーもあります。
このシステムは面白いシステムで、トラックとかバスにダンプカーはエアーブレーキで空気の力でブレーキパッドを動かして停止させているんですが、熱が加わるとブレーキパッドはブレーキの役割を果たさなくなるという問題があります。
これはどの自動車も同じでブレーキパッドが焼け付くとブレーキは利かなくなります。これを解決しようというのがウォーターブレーキで、空気と同時に水を噴射してブレーキパッドを冷やすというシステムです。
このシステムが採用されているのは、山間部など勾配の急な場所に物資を運ぶトレーラーヘッドに採用されていたりダンプに採用されていて、山道はブレーキを踏む回数が多いからとてもじゃあないが熱でブレーキが利かなくなってしまうという問題を力業で解決しようというのがこの方法です。
この方法は、ブレーキに使用する排気ガスの空気と別に用意したウォーターブレーキ用のタンクから水が出てブレーキの空気と合わさることでブレーキのパッドを冷却することにあり、簡単な構造ながら効果的です。
F1なんかは、ドライヤーのような送風機で冷やして冷却をしますがこちらは急激に温度を下げるがゆえブレーキの利き具合が若干悪くなるんですが、それでもブレーキが焼け付くよりも安全なので空気では冷却してないんです。
余談ですが、F1は空気で冷却し熱が逃げすぎると今度はブレーキの利きが鈍ることから空気で冷やすんですね。水で冷やすというのはかなり効率が良いんですが、効率が良すぎる分熱が逃げるとブレーキは利きにくくなるという特性があるんです。
ブレーキは熱すぎてもダメで冷たすぎてもダメというわがままな装置なのでトレーラーヘッドの場合、とにかく熱量がF1よりも大きいから水をぶっかけて冷却というほうが早く安全なので水をぶっかけるわけです。
その他トレーラーに装着されている様々なブレーキシステム
他にも、エンジンのパワーを衰えさせる排気ガスブレーキに、リターダーという磁石でエンジンの動力を伝えているプロペラシャフトというシャフトの回転速度を遅くして減速するシステムなどがトレーラーには採用されています。
メーカーによっては緊急ブレーキという物を採用していて全空気圧を放出して意地でもトレーラーを急停止させるシステムがあったりとブレーキに関してはかなり独自です。
ちなみに車の場合、ブレーキを踏んでから加速する、これは当たり前ですが、トレーラーの場合、ブレーキを踏んで加速できると限らないです。というのも、ブレーキに使用した排気ガスの量が減少しているとブレーキを踏み続けることが困難だということでトレーラー自体が加速せず、排気ガスをチャージするために停車することがあるんです。
だから、トレーラーヘッドはブレーキに使用する排気ガスの量に気を配る必要があるんですね。